プレイヤーが指導者になるために越えなければならない4つの壁
どうも、将棋普及指導員の池です。
私も含め、ほとんどの「指導者」が、かつて「プレイヤー」でした。
何の競技にしてもそうだと思うのですが、現役を引退したら指導者になろうと考えているプレイヤーは多いのではないでしょうか。
しかし、プレイヤーが指導者になるためには、越えなければならない壁があります。
闘争心の壁
プレイヤーにとって大切な闘争心。しかし、指導者には不要です。
当たり前なのですが、指導者の目的は生徒に勝つことではありません。生徒に勝たせることです。
もし野球部のコーチが内野練習のとき「絶対にヒットにしてやる」という気持ちでノックを打っていたらどうでしょうか。その野球部はうまくなるでしょうか。
下記URLの記事で紹介されている指導棋士の飯島さんは「ひと月で生徒に280敗する」といいますが、プレイヤーとしてのキャリアが長いと、この境地に至るまで少し時間がかかります。ついうっかり勝とうとしてしまうのです。本当に尊敬します。
コミュニケーションの壁
プレイヤーが上達する方法は、2段階です。①自分の中に成功のイメージを作り、②その通りに動く練習をする。
指導者が生徒を上達させるには、さらにワンクッション挟まないといけません。すなわち、①自分の中に成功のイメージを作り②そのイメージを生徒に伝え③生徒がその通りに動く練習をする。
どんなに正しい指導をしても、それが生徒に100%伝わることはまずありません。良くて70%、悪いときは0%です(そもそも聞いていない場合)。生徒が自ら吸収しようとするようなコミュニケーションを心掛け、場合によっては内容の「正しさ」より「伝わりやすさ」を優先する必要もあるでしょう。
モチベーションの壁
かつて熱心なプレイヤーだった指導者は、誰もがその競技を好きで好きで仕方ないという勘違いをしがちです。
実際には、色んな目的の子が来ている習い事教室で、そんなことはまずありません。「君たちは将棋を習いに来たんだろう」という態度でいると失敗します。
また、モチベーションは調子のよい時は上がりますが負け続ければ下がります。モチベーションが下がっている子に「やって当然」という態度で接しても、良い結果は生まれないでしょう。
技術の伝達の前にモチベーションの管理が重要であることは、かつて優秀なプレイヤーであるほど認識しにくいかもしれません。
親の壁
元プレイヤーの指導者が、もう一つ見落としがちなのが親の重要性です。
これは子供教室に限った話ですが、指導者と生徒だけで完結できないのが難しいところです。
生徒の親との関係性は指導者が何より気を遣わないといけないところです。教室で良い指導をしても、そのことを親と共有できていなければ知識や技術は定着しません。子どもの成長に最も影響するのは親です。子どもと最も長い時間接しているのは親だからです。
指導の終わりに、1分でも良いので生徒の親と指導内容について会話することで、長期的に見た効果は全く違ってきます。
いかがでしょうか。本当はもっとあるかもしれませんが、私が個人的に特に大きいと思う壁を挙げました。
とはいえ、プレイヤーとしての経験は、指導者になったときマイナスになることはまずありません。技術を伝える以前のところに、壁があるのです。
私も絶賛、格闘中です。
今回も読んで下さりありがとうございました!