池先生の一国一城ブログ

丹波篠山市の個別指導塾と将棋教室で講師をしている筆者が、日ごろ思っていることを書きます。ほぼ毎日更新。

丹波篠山のメインストリートで、子どもたちが本気で枝豆を売った話

こんにちは。ささやま寺子屋塾の池です。

聞いてください。

昨日、うちの生徒たちが黒枝豆を売りました。

それも、普通じゃない方法で。

 

 

黒枝豆販売をすることになった経緯

なぜそんなことになったのか?

まず、ささやま寺子屋塾の新事業寺子屋ガリについて話す必要があります。

 

寺子屋ガリとは、まさにこの2019年10月にモニター生の募集をスタートしたばかりの、全く新しい塾です。

そこで教える内容は5教科「以外」。

さまざまな事業を実践する中で、学校で学べない起業家精神を学ぶ塾として、来年度のオープンを目指しています。

 

まだ始まったばかりの寺子屋ガリについて、塾長のブログをリンクしておきます。

daiki526.hatenablog.jp

 

この寺子屋ガリに興味を持ち、小学生から高校生まで5人の生徒が集まってくれました。

ガリの方針は、実践を通して起業家精神を養うこと。彼らは話し合い、まずこのシーズンの丹波篠山の人気商品である、黒枝豆の販売で利益を出してみることを決めました。

 

目標は「1円以上稼ぐこと」。

 

なんやかんやあって、黒枝豆の仕入れ先と販売場所が確保できました(そのために舞台裏で多くの大人が動きましたが、それは今回の趣旨に関係ないので触れません)。

子どもたちには、枝豆の販売量、商品形態、価格設定、販売政略、その他、販売に関する全てを決めてもらいました。

先日のブログで、黒枝豆の製品化方法について書きましたが、黒枝豆の商品化としては枝売りとさや売りの2つの方法があります(参考までにこちらも)。

 

ikeatsushi.hatenadiary.com

 

しかし、子どもたちが選んだ方法は、第三の選択肢でした。

 

街のど真ん中で枝豆狩り

販売当日、販売場所である篠山市街のスペースに運び込まれた枝豆は、不要な葉っぱこそ取り除かれたものの、まだ枝についた株のままの状態でした。

子どもたちが選んだ売り方は、まさかの「もぎ放題」

そのルールは以下の通りです。

 

 1.お客さんは500円を支払う。

2.ブルーシートの上に詰まれた枝豆の株の山の前に座る。

3.スタートの合図とともに、1分間の「もぎもぎタイム」開始!

4.その間に枝からもぎ取った豆は、全て持ち帰って良い。

 

めっちゃ楽しそうじゃないですか?

しかも、お得。

これはいける。売れるに違いない。がぜんイケイケムードで、午前10時。いざ販売を開始しました。

 

初めての商売は甘くなかった

「黒枝豆狩りいかがですかー!」

「1分間のもぎ放題です!」

 

子どもたちは大きな声で客を呼び込みました、

それはもう大人の商売人も顔負けの、300m先から聞こえるほどの大声で。

 

しかし、お客さんは思ったように止まってくれません。

興味深そうにじろじろと見ていく人はいるものの、「あんたやりいや」「えー恥ずかしいわ」などと話しながら、結局通り過ぎて行ってしまいます。

 

午前中で挑戦してくれたのは、わずか6名でした。

売上は3000円。このままでは大赤字。焦る子供たちから笑顔が消えてゆきました。

 

「1分500円だと短く感じるんかな」

「普通の売り方もした方が良いかも」

 

学校の授業の50倍ぐらい頭をフル回転して、考えている間にも時間は過ぎてゆきます。道行く観光客は相変わらずじろじろ見てはくるものの、変なニヤニヤ笑いを浮かべて去っていきます。

 

見落としていたのは、2つの事実。

1、篠山市街を歩く観光客は、その多くが既に他店で黒枝豆を買ってしまっている。

2、篠山市街を歩く観光客は、目立つことをするより、ゆったりと街歩きがしたい。

 

「声が大きすぎるんちゃう?」

「足を止めてもらうにはどうしたら良いかな」

 

子どもたちは考え、実践しました。私たち大人にアドバイスを求め、思いつく限りの方法を試してみました。

考え、実践し、考え、実践し、心身ともにボロボロになりながら頭と身体を使ってトライ&エラーを繰り返しました。

 

欠けていたのは、最後の一押し。

遠巻きに見ているだけだったお客さんは、本当は自分への言い訳を探していました。

「そこまで強引に言われたら仕方ないなあ」

「子どもの教育のためなら一回やったるか」

そんなことをボソボソ言いながら、足を止めてくれる方が少しずつ増えてゆきました。

 

そして、あっという間に時間は流れました。

 

販売を終えて残ったもの 

「ありがとうございます! これにて……完売です!」

若いカップルに頭を下げる子どもたちの姿を、私は少し離れた場所で、ブルーシートを片付けながらぼんやり眺めていました。

達成感は沸きませんでした。それは、達成した彼ら自身が抱くべきものだから。

成功とは到底呼べない、穴だらけの成果。それは彼ら自身も分かりすぎるほど分かっていて。それでも彼らの表情は事業をやり切った充足感に満ちていました。

「お疲れさま!」

それ以外に、なんと声をかければよかったのか。

大人たちは後片付けを続けました。

 

この記事を書いている前日、10月27日(日)の出来事です。

何もしていない割に、ここ数日で一番疲れた一日でした。

仕入れ値から売り上げを引いた利益は900円でした。これが成功なのか、失敗なのか、私には分かりません。来週の反省会で子どもたちが決めることです。

ただ一つ言えるのは、この経験をした子供たちは大抵のことは怖くないだろう、ということです。

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すみません。昨日のこと、とにかく早く言葉にしたくて、まとまらないまま書き殴りました。

長文乱文を最後まで読んで下さり、本当にありがとうございます。