丹波篠山のメインストリートで、子どもたちが本気で枝豆を売った話
こんにちは。ささやま寺子屋塾の池です。
聞いてください。
昨日、うちの生徒たちが黒枝豆を売りました。
それも、普通じゃない方法で。
黒枝豆販売をすることになった経緯
なぜそんなことになったのか?
まず、ささやま寺子屋塾の新事業「寺子屋トガリ」について話す必要があります。
寺子屋トガリとは、まさにこの2019年10月にモニター生の募集をスタートしたばかりの、全く新しい塾です。
そこで教える内容は5教科「以外」。
さまざまな事業を実践する中で、学校で学べない起業家精神を学ぶ塾として、来年度のオープンを目指しています。
まだ始まったばかりの寺子屋トガリについて、塾長のブログをリンクしておきます。
この寺子屋トガリに興味を持ち、小学生から高校生まで5人の生徒が集まってくれました。
トガリの方針は、実践を通して起業家精神を養うこと。彼らは話し合い、まずこのシーズンの丹波篠山の人気商品である、黒枝豆の販売で利益を出してみることを決めました。
目標は「1円以上稼ぐこと」。
なんやかんやあって、黒枝豆の仕入れ先と販売場所が確保できました(そのために舞台裏で多くの大人が動きましたが、それは今回の趣旨に関係ないので触れません)。
子どもたちには、枝豆の販売量、商品形態、価格設定、販売政略、その他、販売に関する全てを決めてもらいました。
先日のブログで、黒枝豆の製品化方法について書きましたが、黒枝豆の商品化としては枝売りとさや売りの2つの方法があります(参考までにこちらも)。
しかし、子どもたちが選んだ方法は、第三の選択肢でした。
街のど真ん中で枝豆狩り
販売当日、販売場所である篠山市街のスペースに運び込まれた枝豆は、不要な葉っぱこそ取り除かれたものの、まだ枝についた株のままの状態でした。
子どもたちが選んだ売り方は、まさかの「もぎ放題」。
そのルールは以下の通りです。
1.お客さんは500円を支払う。
2.ブルーシートの上に詰まれた枝豆の株の山の前に座る。
3.スタートの合図とともに、1分間の「もぎもぎタイム」開始!
4.その間に枝からもぎ取った豆は、全て持ち帰って良い。
めっちゃ楽しそうじゃないですか?
しかも、お得。
これはいける。売れるに違いない。がぜんイケイケムードで、午前10時。いざ販売を開始しました。
初めての商売は甘くなかった
「黒枝豆狩りいかがですかー!」
「1分間のもぎ放題です!」
子どもたちは大きな声で客を呼び込みました、
それはもう大人の商売人も顔負けの、300m先から聞こえるほどの大声で。
しかし、お客さんは思ったように止まってくれません。
興味深そうにじろじろと見ていく人はいるものの、「あんたやりいや」「えー恥ずかしいわ」などと話しながら、結局通り過ぎて行ってしまいます。
午前中で挑戦してくれたのは、わずか6名でした。
売上は3000円。このままでは大赤字。焦る子供たちから笑顔が消えてゆきました。
「1分500円だと短く感じるんかな」
「普通の売り方もした方が良いかも」
学校の授業の50倍ぐらい頭をフル回転して、考えている間にも時間は過ぎてゆきます。道行く観光客は相変わらずじろじろ見てはくるものの、変なニヤニヤ笑いを浮かべて去っていきます。
見落としていたのは、2つの事実。
1、篠山市街を歩く観光客は、その多くが既に他店で黒枝豆を買ってしまっている。
2、篠山市街を歩く観光客は、目立つことをするより、ゆったりと街歩きがしたい。
「声が大きすぎるんちゃう?」
「足を止めてもらうにはどうしたら良いかな」
子どもたちは考え、実践しました。私たち大人にアドバイスを求め、思いつく限りの方法を試してみました。
考え、実践し、考え、実践し、心身ともにボロボロになりながら頭と身体を使ってトライ&エラーを繰り返しました。
欠けていたのは、最後の一押し。
遠巻きに見ているだけだったお客さんは、本当は自分への言い訳を探していました。
「そこまで強引に言われたら仕方ないなあ」
「子どもの教育のためなら一回やったるか」
そんなことをボソボソ言いながら、足を止めてくれる方が少しずつ増えてゆきました。
そして、あっという間に時間は流れました。
販売を終えて残ったもの
「ありがとうございます! これにて……完売です!」
若いカップルに頭を下げる子どもたちの姿を、私は少し離れた場所で、ブルーシートを片付けながらぼんやり眺めていました。
達成感は沸きませんでした。それは、達成した彼ら自身が抱くべきものだから。
成功とは到底呼べない、穴だらけの成果。それは彼ら自身も分かりすぎるほど分かっていて。それでも彼らの表情は事業をやり切った充足感に満ちていました。
「お疲れさま!」
それ以外に、なんと声をかければよかったのか。
大人たちは後片付けを続けました。
この記事を書いている前日、10月27日(日)の出来事です。
何もしていない割に、ここ数日で一番疲れた一日でした。
仕入れ値から売り上げを引いた利益は900円でした。これが成功なのか、失敗なのか、私には分かりません。来週の反省会で子どもたちが決めることです。
ただ一つ言えるのは、この経験をした子供たちは大抵のことは怖くないだろう、ということです。
すみません。昨日のこと、とにかく早く言葉にしたくて、まとまらないまま書き殴りました。
長文乱文を最後まで読んで下さり、本当にありがとうございます。